インビザラインのメリットについて
2022年2月25日
「歯列の矯正」
この言葉を聞いた時に、あなたは何を思い浮かべますか?
この質問をした時に、おそらく多くの人が、歯の表面に矯正装置をつけた人の姿を思い浮かべるのではないでしょうか?
そしてあなた自身が自分の歯並びについて何らかの悩みを抱いているのだとしたら、対面で目立つそうした矯正器具について、何らかのマイナスのイメージを持たれているかもしれません。さらにはそのことが、歯列矯正をするということに対して、一歩踏み出す勇気を持てない原因になっていることさえあるかもしれません。
しかし、歯列矯正の方法は他にもあるのです。
話す時や笑顔の時に目立つと懸念される、一般的な矯正方法は歯の表側に接着する装置(ブラケット)が金属製のもの。この方法のメリットは、あらゆる症例に対応可能で細やかな調整ができることと、器具が頑丈で施術費用も低額なこともあり、多くの方がこの方法を選択しています。
それとは別に、現在では、表側からは見えない装置や、ワイヤーを使わない透明な装置など、患者さまのご要望に応えた様々な種類の矯正装置が開発されています。
その中でも、透明のマウスピースを用いたインビザラインと呼ばれる矯正方法があるのをご存知でしょうか?
今回はそのインビザラインについてのメリットをまとめていますので、歯列矯正を考えている方はぜひ参考にしてください。
1、インビザラインのメリットについて
ワイヤーやブラケットを一切使わず、マウスピース型の矯正装置(アライナー)を歯に装着することで、歯を移動させる矯正方法です。
この方法の歴史は、1997年に歯科矯正先進国であるアメリカのアライン・テクノロジー社が開発したマウスピースによる矯正治療システムです。日本に導入されたのは2006年で、全世界650万症例を超える臨床データをもとに作成される治療計画の精度は非常に高いことが特徴の矯正方法です。重度の叢生といった一部の不正歯列を除いて、ほとんどのケースに対応可能であると言えます。
また、マウスピース治療とワイヤー、ブラケットの治療を上顎、下顎に分けて適用させる方法もあり、それぞれのメリットを考慮して、最も効果が期待できる方法を取り入れることが望ましいです。
一般的なブラケットやワイヤーといった器具を用いた矯正治療と比較した場合、インビザラインには様々なメリットが存在します。
装置が目立たない
0.5mm程度の薄く透明なポリウレタン製の装置は目立たず、装着していても相手に気づかれることはほとんどありません。
インビザラインの1番のメリットはまさにこれにつきます。
気にせず思いっきり笑顔を出すことができるのはとても大きいのではないでしょうか?
目の前の相手と近い距離で会話することが多い人にとっても安心して治療を進めることができます。
見た目の美しさを損なうことなく歯並びを整えられるのは、マウスピース矯正ならではの特徴です。
簡単に取り外しが可能
治療の効果を最大限に高めるには、長時間装着する必要がありますが、短い時間であれば装置を外して食事を楽しんだり、人前に出たりすることが可能です。
結婚式や写真撮影などの大切なシーンでは装置を取り外すことも可能です。この点もワイヤー式の歯列矯正にはない特徴です。
また、歯の表面に接着剤で装置をつけることもありませんので、取り外す際に歯のエナメル質を傷める心配もありません。
装着時の違和感が少ない
マウスピースに用いられる素材は柔らかく表面が滑らかです。そのため歯茎や粘膜を傷つけることはほとんどありません。従来の矯正ではつきものだった口内炎に悩まされることもありません。
装置の交換後、2~3日は歯に痛みや締めつけ感が現れることがあります。ただし、ワイヤー矯正よりは痛みが軽度、かつ短期間で慣れることが多いです。
ワイヤー矯正が月に1回程度の間隔でワイヤーの調整や交換を行うのに対し、マウスピースは1〜2週間という短いスパンで新しい装置に交換します。マウスピースを交換するたびに移動する歯の量を0.25mm程度に抑えてあるため、歯に無駄な力がかからないようになっており、歯が動く際に感じる痛みも極力抑えることができます。
歯にダメージを与えない程度に少しずつ段階的に歯を動かすように設計されるため負担が少ないのです。
口腔内を衛生的に保ちやすい
装置を簡単に取り外せるということは、フロスを使って歯垢を除去したり、ブラッシングにおいて装置が死角になったりして歯垢が溜まるといったことがありません。
ワイヤー矯正では器具の部分に食べカスがつまったり、歯垢が溜まりなったりと不衛生になりがちなのがデメリットでした。
ブラケットとワイヤーの隙間を歯ブラシのみで清掃するのは難しく、装着部分は汚れが溜まってしまい虫歯になるといったケースが見られることがあります。
歯間ブラシなどの口腔ケアグッズを患者さんに使用してもらうことが多いです。
虫歯や歯周病については、矯正前に既になってしまっているものは先に治療を済ませておくのが望ましいです。
金属アレルギーの方でも安心して矯正治療ができる。
ワイヤー矯正は一般的に金属の矯正装置を常時装着しているため、金属アレルギーの心配があります。装置は医療用プラスチック製なので、金属アレルギーの方でも使用できます。

2、歯列矯正は健康面においてもメリットがある
基本的には小さいお子様から70歳以上の高齢者の方まで、幅広い年齢層での対応が可能であり、実際に高齢者の方で矯正治療を受ける方も一定以上存在します。
高齢者の方は治療を受ける段階で、これまでの治療痕が目立ったり、歯肉が下がったり腫れていたり、何らかの事情で抜歯されていたりと、患者様によってさまざまな状態が見られます。一人一人の状態に合わせて適切な治療計画を立てて、高度で安全な技術に基づく治療ができる専門医に依頼することが重要です。
若い世代の方々は、主に審美性の観点から矯正治療を考える方が多いと思います。
矯正治療の目的はそれ以外にも大事なことがあります。
それは「きちんとした噛み合わせができる状態」を構築することです。
この噛み合わせについては、健やかな生活を送れるかどうかにおいて、極めて重要な要因になります。
一つ例を挙げると、認知症と歯列の関連性です。
認知症の最前線で研究を続ける専門医の先生のお話で、「歯がない人は認知症になりやすい」という論述が存在します。
歯周病菌は歯が抜ける原因の一つとされていますが、それだけではなく、実はアルツハイマー型認知症の原因となることも今日の研究でわかっています。
歯の下には歯根膜と呼ばれる器官が存在しており、歯と骨の間に存在しています。
歯列がしっかり存在することは、すなわちしっかりと物を噛むことができ、この歯根膜に適度な刺激が加わり、血流が活性化されます。
これにより、脳への血流自体も良くなり、脳が活性化されるという仕組みです。
この一例からも、歯列は見た目の美しさや第一印象への影響力だけではない、人体の中でも非常に重要な健康要素となります。
3、まとめ
いかがでしたでしょうか?
「歯並びにコンプレックスがあるので、矯正治療をしてみたい。でも、装置をつけているのを周りの人に見られるのは恥ずかしいし・・・」
このような患者様の声に応えられる、マウスピース型矯正装置。
施術前に歯科医師と相談して、あなたにぴったりの治療方法を見つけましょう。
インビザラインで使われるアタッチメントについて
2022年2月18日
世界で1,100万人以上に使われた実績があり、当院でも強くお勧めしておりますインビザライン®️には、より効果的に歯の矯正を行うためにマウスピースに加えてアタッチメントを用います。今日は、インビザラインで用いるアタッチメントについてお話しいたします。
■アタッチメントとは何か
インビザラインはマウスピースをどんどん交換していくことで歯が少しずつあるべき位置に動かすことができる矯正治療、というのは当院のご説明やブログ等をご覧になった方はすでにご承知でしょうか。そのマウスピースで歯をしっかり動かしていくために欠かせないのがアタッチメントになります。
インビザラインのマウスピースは、患者さまひとりひとりの治療開始時の歯の状態から、矯正の結果得られる望ましい歯並びをシミュレーションして作成します。ですが、歯の表面はツルツルとしてすべりやすく、マウスピースだけではうまく矯正力がかからないことがあります。また、マウスピースという装置は、形の特性上歯の根っこのほう(歯根)まで覆うことができませんから、どうしても歯根のほうへ力をかかりにくくなります。より効率よく力をかけるために、歯の表面にごく小さな突起物を着けます。これがアタッチメントです。ボルダリングという競技で、選手が岩壁に無数についたカラフルな突起物を足がかりに登っていますよね。あの突起物と同じ役割だと思っていただければよいと思います。また、アタッチメントによってアライナーとの密着性が高まるため、装置が外れてしまったりズレてしまったりする現象も防ぎます。

インビザラインのアタッチメントは、コンポジットレジンと呼ばれる樹脂の一種で作られています。コンポジットレジンは虫歯治療でも用いられる材料で、これに特別な接着剤を使用することでツルツルした歯の表面にもしっかり装着することができます。
歯に装着する、といってもごく小さなものですし、歯と同じ色のものを選ぶことができますので、マウスピース型矯正のメリットである矯正を目立たせない自然な見た目はもちろん維持できますし、日常生活に支障をきたすものではありません。
アタッチメントの形は四角いものから丸いものまでありますが、おおよその大きさは3㎜から5㎜程度のものが多いです。
■アタッチメントはどんなものがあるか
インビザラインのアタッチメントには、インビザラインを設計する時にソフトウェアが自動的にマウスピースに付与する「最適アタッチメント」と、歯科医師が実際に患者さまの診察を行いながら必要に応じてマウスピースに付与する「通常アタッチメント」の2種類があります。
インビザラインのアタッチメントは、最適アタッチメントと通常アタッチメントを合わせ現在10種類ほどがあり、技術の進歩とともに種類が増えています。アタッチメントによってどんな症例に対応できるようになったかを、最適アタッチメントのいくつかを例にご紹介いたします。
最適アタッチメントとは、矯正治療の期間で歯をどのように移動させていくかと患者さまの歯冠の形態に合わせ、インビザラインシステムでアタッチメントの形状やサイズを自動的にカスタムメイドされるものです。
インビザラインは1997年に開発が開始、日本での治療は2006年から開始されましたが、アタッチメントは2009年ごろから開発が始まっています。2011年ごろから飛躍的な技術開発が進み、インビザライン矯正でできることの精度が高まってきました。
たとえば、歯の根っこの傾きを調整するルートコントロールアタッチメントというものがあります。マウスピース型矯正装置は、先ほど述べたように歯根には力がかかりにくいという性質がありますが、実際に歯並びを美しく機能的に矯正するには、正面から見た時の1本1本の歯の微妙な傾きにアプローチする必要が少なくありません。ルートコントロールアタッチメントとはルート、つまり歯の根っこを積極的に動かすアタッチメントなのです。
また、インビザラインがマウスピース型矯正装置として多くの歯科医師に高く評価されるようになった最適アタッチメントのひとつに、オープンバイトの症例向けのアタッチメントが挙げられます。
奥歯は噛んでいるのに前歯が噛み合わずに開いているものをオープンバイト(開咬・かいこう)と呼びますが、オープンバイトは前歯で食べ物を咬み切ることができなかったり、タ行やサ行の発音が適切にできなかったりすることで、発音が不明瞭で聞きとりにくくなってしまう不具合をもたらします。また、本来前歯と奥歯で分散されるべき力が奥歯に一方的にかかってしまう結果、奥歯を傷めやすくなり、奥歯を失ってしまう原因になるのです。オープンバイトの矯正は奥歯と前歯のそれぞれの動きをコントロールする必要があり、ワイヤーを用いた矯正(ブラケット矯正)でも難しいと言われています。
このオープンバイトの矯正に対応できるアタッチメントがコンピュータ技術のイノベーションにより完成したおかげで、必要に応じて、患者様の治療計画に沿ったそれぞれ特有の歯の移動にカスタマイズされたアタッチメントを提供できるようになりました。
その他、インビザラインで用いられるアタッチメントには、咬み合わせが深すぎるディープバイト(過蓋咬合)に対応するもの、個別の歯に働きかけねじれを修正することに用いるアタッチメントや、抜歯したケースにも対応できるアタッチメントなどがあります。
■アタッチメントの装着方法
インビザラインのアタッチメントは、歯科医院において次の手順で装着されられます。
① 歯の表面をお掃除する
② 歯の表面に接着の前処置をする
③ 薬剤を水で流し、歯の表面を乾燥させる
④ 歯の面面に接着剤を塗る
⑤ アタッチメントにレジンを流し込んだ、型取り用のマウスピースを装着する
⑥ 光を照射してレジンを固める
⑦ レジンの硬化を確認したら、マウスピースを外す
⑧ 余分な部分(バリ)を除去して完了
手順につきましては、日頃ネイルをされる方でしたら、ジェルネイルの固め方を思い起こしてくださるとよく似ていると思います。
どのアタッチメントも、患者さまひとりひとりの歯並びや矯正の進捗状況に応じて、歯科医師がアタッチメントの装着、脱着を行なっていきます。マウスピースは患者さま自身で着けたり外したりができますが、アタッチメントは患者さまの意思で外すことはできないということをご理解ください。
アタッチメントが外れてしまった場合、再装着が必要になることがほとんどです。基本的には外れてしまった後すぐに再装着しますが、アライナーがパカパカ浮いていない場合や、次回予約がもうすぐという場合には、次の来院時に再装着する場合もあります。
■「歯並びと咬み合わせの専門家」である当院にご相談ください
インビザラインのアタッチメントの機能をご説明いたしましたが、長い人生の中では、いくつになっても矯正治療を行うだけのメリットが、健康面を中心にたくさんあります。ととのった歯並びは「美しい」のはもとより、「機能的」でもあり「健康的」「衛生的」とも言えます。すこやかで明るい人生を楽しむ上でも、今一度ご自身の歯がどれだけ大事かを見つめて、矯正治療という選択肢と向き合ってみてはいかがでしょうか?
当院では患者さまのさまざまな疑問や悩みにお答えしたく、毎月5名様限定で「矯正治療」に関する個別無料相談、セカンドオピニオンを実施しております。詳しくは当院ホームページをご覧ください。
インビザラインで気になる部分を目立たせずに矯正しませんか?
2022年2月11日
マウスピース矯正に興味があるけれど、歯並び全体を治すほどでもないような気がする。歯並びの悪さが気になる部分だけ矯正したいな、とお考えの方もいらっしゃるかと思います。今日は、マウスピース型矯正を専門とする当院がおすすめしております矯正装置ブランドの「インビザライン®︎」を用いた部分矯正についてお伝えします。
■マウスピース部分矯正の特長
歯の矯正では、歯並びや噛み合わせ全体ではなく、問題がある部位だけを治療する「部分矯正」と呼ばれる方法があります。具体的な矯正方法としては、当院が得意とするマウスピース矯正はもちろん、全体矯正でも用いられるブラケット矯正(ワイヤーを使用)、インプラントを使用した矯正などがあります。
では、インビザラインでの部分矯正が他の方法より優れているのはどのようなところでしょう。
① 手軽に矯正できる
歯の矯正治療を始めたことを周囲に気が付かれたくない人もいらっしゃると思います。ワイヤー矯正の装置は、とくに表側に装着すると目立ってしまい、まわりの人に矯正していることが知られてしまいます。
しかし、インビザラインは透明なマウスピースを用いた矯正方法ですので、装着していても目立ちません。また、どうしてもマウスピースをつけたくない時は外すこともできます。ほんの少し歯並びが気になるけれど、矯正すると目立ってしまいそう、と躊躇している方にとって、インビザラインでの部分矯正は適しています。
② 多くの症例をもとに治療計画やマウスピースが作られる
インビザラインは、これまで世界1,100万人以上の使用実績があり、日本国内でも2,000以上の歯科医院が採用しています。数々の治療実績をもとに、あなたにもっとも適した治療計画やマウスピースをご用意できるのは、インビザラインだからこそです。
また、インビザラインでは、事前に撮影したレントゲンや口腔内スキャンの画像を元に、3Dで治療のシミュレーションを行います。これらのシミュレーションにも過去の症例が生かされているのです。
③ 矯正の痛みや負担が少ない
ワイヤー矯正では、矯正装置を調整することができるのは歯科医師だけですので、通院した際に強い強制力をかける必要があり、歯がその強制力に馴れるまでは強い痛みを伴う恐れが高くなります。いっぽう、インビザラインではおよそ10日ごとにマウスピースを変えることで歯を動かしていくため、歯に対していちどに大きな強制力をかけることはありません。
インビザラインの1回の交換で歯が移動する距離は、なんと、わずか約0.25mmです。ワイヤー矯正と比べて少しずつ、細かく歯を動かしていくため、痛みから起こるからだへの負担が小さくなるのです。
④ 治療に通う期間や回数が軽減できる
部分矯正は動かす歯が少ないため、治療期間も短くなります。通常の矯正治療なら2~3年かかるケースも少なくありませんが、部分矯正なら数ヶ月~1年以内に治療が完了します。ですので、部分矯正は結婚式や就職活動など、大事なイベントを控えている方にも人気があります。
また、一般的なマウスピース型矯正システムですと、約2~3週間のペースで来院いただき、その都度歯型を採り、新しいマウスピースを作製しなければなりません。それに対し、インビザラインは各ステージのマウスピースをまとめて作製しお渡しできるため、来院回数を6~8週間に1回のペースに減らすことができます。インビザラインは、お忙しい方でもできる部分矯正システムといえます。
マウスピース矯正にはいくつかのメーカーがあり、それぞれこのメーカーではこのケースは対応できないが、他のメーカーでは対応できるといった適応症例があります。当院で利用するメーカーは世界シェアNo.1を誇る「インビザライン®️」で、他のメーカーと比べて適応症例が広いのが特徴です。また、矯正治療に関しての知識や経験が豊富なうえ、インビザラインでの治療を数多く経験した当院の診察力と技術であれば、他の歯科医院で断られてしまったケースもインビザラインで治療できる可能性があります。

■インビザラインでの部分矯正に向いたケース
インビザラインでの部分矯正に適しているのは、一般的に次のようなケースです。
①前歯
前歯一本だけがずれているのが気になる場合や片方の歯が飛び出ているような歯並び、以前矯正をしていて、後戻りをおこした場合などはインビザラインが適しています。
②軽い乱ぐい歯
専門用語では、叢生(そうせい)とも呼ばれる、歯があちこちを向いて乱れた状態は部分矯正で大丈夫なケースがあります。歯が歯列(アーチ状の歯並び)に収まりきらずわずかに隣同士が重なってしまう状態や、少し歯がねじれている状態です。八重歯もこの一種です。
③すきっ歯
歯のあいだに隙間が出てしまう場合です。小さい歯や形の悪い歯が生えてきた場合、本来生えてくる歯の数より少ない場合など、歯と顎のバランスが崩れている場合に起こります。
すきっ歯は頬杖をついたり、舌で前歯を押してしまったりする癖によっても起こり得ます。若い頃はきれいな歯並びだった方も、生活習慣によってすきっ歯になってしまうこともあるのです。
④ごく軽い出っ歯
隣の歯に比べて少し段差がある程度や、顎自体ではなく歯のみが出ている場合は、インビザラインでの部分矯正が向いております。
■インビザラインでも部分矯正ができないケースもあります
インビザラインは『部分矯正』『全体矯正』どちらにも対応できるすぐれた矯正方法です。しかし、残念ながら部分矯正したいと考えている患者さますべてが部分矯正できるわけではありません。凸凹が著しい歯並びや骨格的な問題など、部分矯正が向いていない場合も少なからずあります。また、実際に検査診断をしたところ、部分矯正を希望して来院された患者さまのなかには、実は全体矯正が必要な症例だった例も少なくありません。
また、怪我をしたら徐々に元の状態に戻るように、歯も何もしないと「元に戻ろうとする力」が働きます。少しずつ動かした歯並びが元に戻ってしまわないよう、矯正治療後はリテーナーと呼ばれる装置を一定期間付けることで、「今の歯並びが正しい位置である」ということを身体に教え込む必要があります。このリテーナー装着期間が不十分だと、せっかく治療した部分矯正が元に戻ってしまうことがあります。
私たち矯正の専門医は、専門家の見地からさまざまな検討を重ね、患者さまの健康に最善の提案をさせていただきたいと考え、日々の診療にあたっております。患者さまの状態をもとにとことんご説明させていただき、患者さまひとりひとりがご納得いただける治療をご提案させていただいておりますことをご理解ください。
■ご相談はインビザライン・ダイヤモンドプロバイダーの当院へ
当院はインビザライン矯正のエキスパート認定医が在籍し、年間の治療数も豊富な「ダイヤモンドプロバイダー」です。マウスピース矯正を専門とする当院では、インビザラインをはじめとしたさまざまな治療法で、患者さまの歯並びのお悩みを解決します。
治療に先立ってメール相談や対面のカウンセリング、診断までを無料で行うだけでなく、さまざまな観点から想定される治療内容について専門家としての視点で客観的にご説明いたします。歯並びや咬み合わせにお悩みのかたは、ぜひいちど当院の無料個別相談へお申し込みください。他の歯科医院で断られてしまったケースでも対応できることがあります。どうぞお気軽にご相談ください。
当院ホームページでは、インビザラインの部分矯正について、より詳しいご説明をいたしております。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ併せてお読みいただけると幸いです。
インビザライン治療にも用いられる顎間ゴムとは?効果や種類
2022年2月4日
マウスピース矯正とは、透明に近いマウスピース型の矯正装置(アライナー)を歯に装着して、歯並びをきれいにする治療方法です。一人一人の歯に合わせて作製したアライナーを装着し、治療の段階に合わせて新しいアライナーに交換しながら徐々に歯を動かして、歯列を矯正します。インビザラインはマウスピース型矯正装置の一つで、目立ちにくい審美的矯正装置として注目を集めており、近年多くの歯科医院で矯正治療の選択肢の一つとなっています。
インビザラインで矯正治療を行う際、「顎間ゴム」というツールを補助的に用いる場合があります。今回は、この「顎間ゴム」の働きや特徴について解説します。
「顎間ゴム」とは
矯正歯科治療のためには、歯を動かしたり、成長を誘導したりするための矯正装置が発する外的な力が必要になってきます。これを「矯正力」と呼んでいます。矯正力にはさまざまな種類のものがありますが、歯を移動させるために器械を利用して発生させる力を「器械的な矯正力」といいます。これらの矯正力を獲得するために、矯正歯科治療ではさまざまな材料を用いています。
器械的矯正力を発揮する矯正装置は、可撤式と固定式に、そこから顎内固定か顎外固定か顎間固定の型式により細分化されています。
可撤式矯正装置とは、患者さん自身が着脱できる矯正装置のことです。例えば、マウスピース型矯正装置や保定装置といった床矯正装置などがこれに属します。固定式矯正装置とは、歯科医師は取り外すことができますが、患者さん自身では着脱できない矯正装置です。
矯正力を歯あるいは顎骨に作用させる場合、力の反作用に耐える抵抗源を固定(固定源)といいます。顎内固定装置とは、移動する歯と固定源を同じ歯列、同じ顎内に求める矯正装置です。例えば、マルチブラケット装置(ワイヤー矯正)などがあります。顎間固定装置は、移動する歯や顎に対して、対顎の歯や顎が固定源になっている矯正装置です。顎間ゴムは顎間固定装置の一つです。

顎間ゴムの特徴
顎間ゴム(エラスティック)は、上顎に装着した矯正装置と下顎に装着した矯正装置の間にかけ、歯や顎の位置を誘導する輪ゴムです。上下顎の間にかける顎間ゴムが発生する矯正力は、歯を近遠心方向に移動するだけでなく、歯を挺出させます。(挺出:歯軸に沿って骨の中から歯を引き出すような動きのこと)
顎間ゴムは、マウスピース矯正だけに用いるものではなく、マルチブラケット装置などによる矯正治療でも頻繁に用います。マウスピース矯正で顎間ゴムを使用する場合には、マウスピース型矯正装置にゴムをかけるためのフックを加工したり、歯の表面に突起を付与したりします。
インビザライン治療での顎間ゴムの使用目的
顎間ゴムは、かみ合わせを治療する際、補助的に用います。顎間ゴムは、矯正歯科治療を行っている間ずっと使用するものではなく、ある程度歯並びが整ってから、かみ合わせの調整を行う際に用いることが多いです。もちろん見た目など審美面の改善も大切ですが、正しいかみ合わせを作っていくことは矯正歯科治療にとって非常に重要です。そのためにも、顎間ゴムを正しく使用していただくことは大切になってきます。
また、患者さんによっては顎間ゴムの使用が必要ない場合もありますし、使用する顎間ゴムの種類や使用する期間などは、患者さんの口腔内の状況を考慮したうえでの歯科医師の判断となります。
顎間ゴムは、基本的に長い時間使用することで高い効果が得られます。マウスピース矯正装置と同じように、食事とブラッシング時以外は付けておくのが望ましい装置です。しかし、顎間ゴムは上下顎の間にゴムをかけるため、しゃべることを職業にしている人の場合などは、長時間の使用や継続が難しいということもあるかと思います。そのような場合も、自己判断で勝手に使用を中止せず、必ず歯科医師に相談してください。口腔内の状況によっては、就寝中の使用など、実情に沿った使用方法の提案ができる可能性もあります。
顎間ゴムは、患者さん自身の自己管理が必要です。毎日の顎間ゴムの交換や食事、ブラッシングの際には、患者さん自身が取り外しするのが一般的な使用方法です。特に臼歯にゴムをかける場合など、慣れないうちは取り外しが難しいかもしれませんが、鏡を見ながら専用の器具を使用して、取り外しを行っていただきます。顎間ゴムの使用開始時には、歯科医院でも練習を行いますので、分からないことや不安なことがある場合は、スタッフに質問してください。
顎間ゴムの種類
顎間ゴムは用途により数種類あり、ゴムの厚さや直径のサイズが異なります。顎間ゴムには以下のような種類があります。
Ⅱ級ゴム
下顎の臼歯部から上顎の前歯部あるいは犬歯部に向かってかける顎間ゴムであり、上顎前歯の舌側移動、上顎犬歯・臼歯の遠心移動、あるいは下顎臼歯の近心移動などに用います。
具体例を挙げると、出っ歯の治療ではⅡ級ゴムを用います。先ほど説明したように、上顎の前歯から下顎の臼歯に向かって引き伸ばして使います。ゴムは縮もうとするため、前歯を後ろに引っ込めるときの補助的な力として作用します。
Ⅲ級ゴム
上顎の臼歯部から下顎の前歯部あるいは犬歯に向かってかける顎間ゴムであり、下顎前歯の舌側移動、下顎犬歯・臼歯の遠心移動、あるいは上顎臼歯の近心移動などに用います。Ⅲ級ゴムは、受け口の治療の際に用います。ゴムのかけ方は、Ⅱ級ゴムと逆になります。このようにゴムをかけると、上顎の臼歯を固定源にして、下顎の前歯を後退させるときの補助的な力が働きます。
垂直ゴム
上下顎間にほぼ垂直にかける顎間ゴムであり、開咬の治療などに用います。開咬とは、噛み合わせても上下の歯の接触が少なく、スペースができている状態です。
交叉ゴム
一方の唇側から対顎の舌側に向かってかける顎間ゴムであり、交叉咬合や鋏(はさみ)状咬合の治療などに用います。交叉咬合は、上下の歯の関係が正常とは逆になっている状態で、前歯部以外にみられる場合をいいます。逆に鋏状咬合は、下の歯が上の歯の内側に入っているかみ合わせをいいます。
また、前歯部において上下顎間の唇側に斜めにかける顎間ゴムのことも交叉ゴムとよぶことがあります。
その他
このほかにも顎間ゴムを三角形にかけた場合には三角ゴム、四角形にかけた場合には四角ゴムとよぶことがあります。
まとめ
インビザラインによる矯正治療を行う際に、患者さんの歯並びや噛み合わせの状態によっては、「顎間ゴム」という矯正装置を補助的に使用する場合があります。「顎間ゴム」とは、上顎の矯正装置と下顎の矯正装置の間にかけ、歯や顎の位置を誘導する輪ゴムです。一般的には、歯並びがある程度整った、治療の中期から後期にかけてから、かみ合わせの調整のために使用をスタートするケースが多いです。顎間ゴムにはさまざまな種類がありますが、使用するゴムやかける場所などは、患者さんごとに異なります。顎間ゴムの特徴として、ゴムかけは患者さん自身に行っていただきます。慣れるまでは、日常生活にこの習慣を組み込むことが大変かと思いますが、歯科医師の指示を守っていただくことが良好な治療結果を得るためには重要です。
インビザライン治療を行う場合にも、顎間ゴムを補助的に使用するということを知っている人は意外と少ないのではないでしょうか?面倒なゴムかけですが、あらかじめ顎間ゴムの働きや効果を知っておくと、重要性も理解しやすいかと思います。インビザライン治療について興味がある、もっと知りたいという方は、ぜひ歯科医院にご相談ください。
マウスピース矯正専門の当院がおすすめする「インビザライン」
2022年1月28日
当院のブログをご覧いただいているみなさまは、さまざまな歯列矯正の方法をお調べになり、マウスピース型矯正に魅力を感じていらっしゃるかたが多いことと思います。マウスピース型は従来のワイヤーを用いた矯正方法にくらべ、「取り外しできる」「目立ちにくい」「金属アレルギーでも大丈夫」といったメリットがありますが、「歯並びや歯の状態によって使えない」といったデメリットがあるというお話があると言われています。
今日は、マウスピース型矯正を専門とする当院がおすすめしております矯正装置ブランドの「インビザライン®︎」について、おすすめの理由や治療手順をお伝えしたいと思います。
当院でおすすめする「インビザライン®︎」
マウスピース型の矯正装置はさまざまなものがありますが、当院ではインビザラインをおすすめしています。
インビザラインは、マウスピース型矯正装置のパイオニア企業である米国アライン・テクノロジー社が開発した、従来のワイヤー矯正とはまったく異なる、透明なマウスピース型の矯正装置です。マウスピースは目立ちにくく、見た目を気にすることなく矯正治療を進めることができます。
インビザラインは、1997年から独自技術の研究と改良を続け、いまでは世界で1,100万人以上、日本国内では2,000軒以上の歯科医院で治療方法として取り入れられており(※)、お口の中のトラブルを起こしにくいのが特長です。(※2021年9月時点における「インビザライン・システム」および「インビザライン Goシステム」の合計)
歯並び全体の矯正はもちろん、部分的な矯正や矯正後に後戻りしてしまった歯の再矯正など、さまざまなケースに対応できるのがインビザラインの強みです。
しかし、マウスピース型矯正装置が一般的にいわれるように、インビザラインが苦手とする歯並びもあります。
なかでも抜歯が必要な方の治療は難易度が高いと言われており、他の歯医者さんでマウスピースは使えない、と言われたご経験のあるかたもいらっしゃるでしょうか。
当院では、抜歯が必要なケースでも対応できる実績があります。
歯並びによってはワイヤー矯正と併用することで対応できることもあります。ひとりひとり異なるお口の中のコンディションを詳しく把握したうえで、最適な矯正方法をご提案いたしますので、「自分にはマウスピース矯正は無理」などとあきらめてしまわずに、ぜひ一度当院の無料カウンセリングをご利用ください。
インビザラインを用いた歯列矯正治療の手順
インビザラインは、患者さまひとりひとりの歯並びの状態に合わせてマウスピースを作ります。インビザラインを使った矯正治療のステップは、おおむね次のとおりです。
1.カウンセリング
まずは、さまざまな治療方法の中から患者さまにもっともフィットする治療方法を検討するために、診察させていただき、患者さまのニーズをお伺いするカウンセリングからスタートします。カウンセリングの時には、独自のシミュレーションツールを用いて、ご自身の歯並びのビフォーアフターの変化をご覧いただけます。
気になることはなんでも、この段階でお聞きください。
2.精密検査
インビザラインでの治療を始めることが決まりましたら、いよいよ治療の準備に入ります。まずは、精密検査で口腔内の検査と、レントゲン撮影、顔や口の中の写真撮影を行ないます。また、型取りが一切不要です。
3Dスキャナーの先端をお口に入れるだけで、素早く歯型を採取できます。
3.治療開始
患者さまひとりひとりにあわせたマウスピースが完成すると、いよいよ治療開始です。初回は、マウスピースを実際につけてみて、歯にフィットしているかを確認します。この時に、マウスピースの扱い方や注意点などもご案内します。マウスピース型矯正装置は、決められた時間しっかりつけることと、洗浄などの日々のメンテナンスなど患者様自身での自己管理が非常に重要です。
4.定期診察を受ける
指定された装着時間を守りながら、治療の段階に合わせて新しいマウスピースにつけ替えていきます。定期診療の都度、口腔内の状態も確認し、治療の進捗を管理していきます。
一般的なマウスピース型のシステムの場合、約2~3週間のペースで来院いただき、歯型を取って新たなマウスピースの型を作らなければなりません。しかし、インビザラインの場合は、3次元画像化技術とCAD/CAM技術により、各ステージのマウスピースをまとめて作製しお渡しすることができ、来院回数は6~8週間に1回のペースまで減らすことができるのが大きなメリットといえます。
5.治療終了後はリテーナー(保定)を
矯正治療で歯を移動させ、のぞましい歯並びになったら治療終了となりますが、治療した歯並びを正しい位置を長期間にわたって保持しなければなりません。なぜならば、歯並びというものは、歯やあごの骨、筋肉、舌や歯周組織などさまざまな器官の微妙なバランスから成り立っています。いちど治した歯並びが、運動不足や姿勢の悪さ、ストレスといったさまざまな要因で変わってきてしまうことが指摘されています。いったん正しい位置に動かした歯や歯周組織が安定するまでの間、その位置を維持管理することを保定と呼び、そのために用いる装置を保定装置(リテイナー)と呼びます。
保定装置を装着する期間は、原則として、歯を動かした期間と同じくらいかかると言われています。とくに、矯正歯科治療を終えてから3〜6か月のうちは、歯が非常にもとの位置に後戻りしてしまいやすい不安定な状態です。保定をおろそかにしてしまったために、矯正が後戻りしてしまった残念なケースもご相談いただきます。治療の効果を長続きさせるためにももうひとがんばりが求められる、たいせつな時期です。

ご相談はインビザライン・ダイヤモンドプロバイダーの当院へ
当院はインビザライン矯正のエキスパートである認定医が在籍し、年間の治療数も豊富な「ダイヤモンドプロバイダー」です。
マウスピース矯正を専門とする当院では、矯正治療に関しての知識や経験が豊富な当院ドクターが、インビザラインをはじめとしたさまざまな治療法で、患者さまの歯並びのお悩みを解決します。また、治療に先立ってメール相談や対面のカウンセリング、診断までを無料で行い、さまざまな観点から想定される治療内容について専門家としての視点でご説明いたします。当院では口内環境、ライフスタイル、予算などに応じて複数の選択肢をご提案するようにしていますし、決してひとつの治療法を押し付けるようなことはいたしません。
歯並びや咬み合わせにお悩みのかたは、ぜひ一度当院の無料個別相談へお申し込みください。
世界シェアNo.1のインビザラインは適応症例の幅が広いのが特長のひとつです。
とはいえ、そのインビザラインでも対応が難しいケースがあり、歯科医院によっては同じインビザラインでもできることとできないことが起こり得ます。
しかし、矯正を専門とし、かつインビザラインでの治療実績の豊富な当院は、他の歯科医院で断られてしまったケースでも対応できることがあります。どうぞお気軽にご相談ください。
また、当院ホームページでは、インビザラインについて、さまざまな視点からより詳しいご説明を差し上げています。ご興味をお持ちいただけましたら、ぜひ併せてお読みいただけると幸いです。
インビザラインの詳細は「インビザライン矯正」をご覧ください。
インビザラインで後悔しないために気を付けたい注意点
2022年1月21日
マウスピース矯正(インビザライン)は、透明に近いマウスピース型の矯正装置(アライナー)を装着して歯並びをきれいにする治療方法です。インビザラインは、患者さんの歯に合わせてカスタムメイドしたマウスピースを用いて少しずつ歯を動かすため、ワイヤー矯正よりも痛みが少ないといわれています。また、必要なときには装置を取り外すこともでき、矯正治療中でも普段と変わらずに食事ができます。他に、定期的ときき通院もワイヤー矯正より少なくすることが可能など、多くのメリットがあり、注目されている治療方法です。
しかし、インビザラインをインターネットで検索すると、関連キーワードで「後悔」や「失敗」といったワードも多く検索されています。インビザラインは、従来のワイヤー矯正などの治療法と比べると、比較的新しい治療法なので、不安を感じるという人も多いのではないでしょうか?
今回は、患者さんが後悔しないためにも知っておきたい、インビザラインの注意点について解説します。
インビザラインによる矯正歯科治療において患者さんができること
矯正歯科治療で治療結果が思わしくないということになる原因としては、歯科医師側に原因があるケースと患者さん側に原因があるケースが考あります。特にインビザラインでは、マウスピースの装着などを患者さん自身に自己管理で行っていただくため、矯正歯科治療の中でも特に、患者さんに治療の主体がある治療方法です。インビザラインで良好な治療結果を得るために、ここでは患者さんができることや理解しておいてもらいたいことを紹介します。
信頼のおける歯科医院を選ぶこと
治療を始める前には、まず治療を受ける歯科医院を選ばなければなりません。先ほど述べたように、インビザラインがうまくいかない原因の一つは、歯科医師側に原因のある場合です。具体的には、不適切な治療計画や適応症例の見誤りなどがあります。適切な治療計画を立てることができ、もしトラブルが起こったときにも適切な対応ができるためには、やはり多くの治療経験も必要となります。インビザラインの治療経験豊富な歯科医師の治療を受けることが大切です。
また、インビザラインは他のマウスピース型矯正装置と比べて適応範囲は広がっていますが、すべての症例に対応できる治療方法ではありません。症例によってはインビザラインとマルチブラケット装置(ワイヤー矯正)の併用が必要な症例や、インビザラインではなく他の治療方法が適切な症例もあります。このようなデメリットも知っておかないと、のちに後悔することにもつながってしまいます。インビザライン以外の治療の選択肢も提示できる歯科医師を選ぶことで、より患者さんの希望に添えるような治療が選択できます。矯正相談を無料で行っている歯科医院も多くありますので、そのような機会を利用して信頼できる歯科医師を見つけることも一つでしょう。
きちんと通院してもらうこと
すべての歯科矯正治療に言えることですが、治療中は決められた間隔で通院していただくことが大切です。インビザラインでは約6~8週ごとに通院し、歯科医師の診察を受けて治療経過を確認します。診察では、アライナーの適合性や装着状況、歯並びの状態、口腔内の清掃状態などを確認します。
また、インビザラインは従来の矯正治療と比べて、通院間隔があく場合が多いです。忙しい人には通いやすいといったメリットではありますが、もしその間に起こったトラブルを長期間放置してしまうと、治療期間が延長したり、治療結果が思わしくないということにつながったりします。何かトラブルがあったときにはすぐに歯科医師に相談し、対応してもらうことも大切です。
歯科医師の指示を守ること
患者さんは、毎日アライナーを装着していただき、1~2週間ごとに新しいアライナーに交換します。また、アライナーは一日に装着する時間が決まっています。基本的には、食事中や歯磨き時以外は装着するのが望ましい装置です。患者さんによっては、ゴムをかける必要があり、その場合はゴムをきちんとかけなければなりません。
インビザラインは、基本的に最初の型取りですべてのアライナーを作製します。これらのアライナーは、上記のようなルールをきちんと守っていただくことを前提として作製しています。そのため、アライナーの装着時間や交換のタイミングなどの指示が守らない場合には、治療期間が延長したり、治療結果が思わしくないということになったりします。インビザラインは、患者さんの自己管理が非常に重要な治療方法です。

日常の口腔清掃を正しく行うこと
矯正歯科治療は、矯正装置の使用により、プラーク(歯垢)の沈着や不潔域の増加および自浄作用の低下を招きやすく、虫歯や歯周疾患の誘因の一つとなりえます。インビザラインは取り外しが可能な装置のため、他の矯正装置と比較すると口腔清掃しやすいですが、インビザラインでも注意は必要です。インビザライン治療中は、不正咬合の改善処置のみでなく、継続的な口腔衛生管理が大切になってきます。口腔衛生管理は、患者さんが毎日行う清掃(セルフケア)と医療従事者が診療室で各種器具を用いて行う清掃(プロフェッショナルケア)に分けることができます。
セルフケア
初めての装置装着時には、磨き癖の修正や食後の歯磨きの習慣化、歯磨き剤の選択や使用量の指導、歯ブラシの大きさや形の選択といったブラッシング指導を受けます。また、インビザラインは装置の取り外しが可能なため、補助的清掃手段としてフロッシングなども問題なく行えます。これらも使用することで、より清掃効果が高まります。
また、治療中の定期診察の中で、口腔内の清掃状況も確認します。もし問題があれば、ブラッシング方法を確認してもらい、再度ブラッシング指導を受けます。もし、治療中に虫歯になってしまうと、治療の中断や治療期間の延長を招くことにもなります。
インビザラインの場合は、口腔内の清掃だけでなく装置の清掃も習慣化しなければなりません。アライナーについては、流水下で歯ブラシを用い、浸漬清掃剤の使用が勧められる場合はそれらを用いて清掃してください。
アライナーは食事や歯磨き時以外はずっと装着するもので、水を飲むくらいであれば装着したままでもよいですが、それ以外のものを飲食した後は必ず清掃が必要になります。間食が多いなど、人によっては、食生活や生活習慣の改善が必要となってくる場合もあります。
プロフェッショナルケア
セルフケアでは除去できないプラークや歯石、歯面の着色などは、定期的にプロフェッショナルケアで清掃・除去し、ブラッシング方法について指導を受けることによって、口腔内の環境を良好に保つことができます。矯正歯科治療中は、定期的にプロフェッショナルケアを受けることをお勧めします。
治療後の保定は必ず行うこと
歯を移動させたら、今度はその動きを止め、正しい位置を長期間にわたって保持することが大切です。正しい位置に動かした歯の歯周組織が安定するまで維持、管理することを保定といいます。また、そのために用いる装置を保定装置(リテイナー)といいます。
装着すべき期間としては、歯を動かした期間と同じだけ使用するのが原則です。特に、矯正歯科治療を終えてから3~6か月間は、歯が非常に後戻りしやすい状態ですので、歯を磨くとき以外は保定装置を装着するのが望ましいでしょう。
後戻り
矯正治療が終了して一番心配なのは、後戻りあるいは再発です。歯は矯正装置を外した途端に治療前の状態に戻ろうとします。後戻りの原因はいくつかありますが、その一つとして保定装置に対する患者さんの協力が得られなかった場合です。ある程度の後戻りは、覚悟が必要な部分はあるのですが、適切に保定装置を使用することで後戻りを防いでいけます。
まとめ
インビザラインは比較的新しい治療方法であるため、興味はあるけど治療に対して不安に思っているという人も多いかと思います。不安なく治療を進めるためには、まず信頼関係を築ける歯科医師のもとで治療を受けることです。治療中は、歯科医師の指示を守り、決められた間隔で通院することが大切です。また、治療中は虫歯や歯周病になりやすいので、普段以上に日常の口腔清掃に注意が必要です。治療終了後は、歯科医師の指示通りに保定装置を使用することで、後戻りを防いでいきます。これらを注意することで、患者さん側の責任による治療の失敗を減らすことができ、後悔のないインビザライン治療につながります。
高齢者のインビザラインについて
2022年1月14日
もしもあなたがご自身の歯並びにお悩みを抱えているならば、歯列矯正の一つの方法として注目を集めているマウスピース矯正(インビザライン)について、いろいろと調べて検討されたことがあるのではないでしょうか?
マウスピース矯正のさまざまなメリットについて
一般的なブラケットやワイヤーといった器具を用いた矯正治療と比較した場合、マウスピース矯正には様々なメリットが存在します。
装置が目立たない
透明なポリウレタン製の装置は目立たず、装着していても相手に気づかれることはほとんどありません。
気にせず思いっきり笑顔を出すことができるのはとても大きいのではないでしょうか?
目の前の相手と近い距離で会話することが多い人にとっても安心して治療を進めることができます。
見た目の美しさを損なうことなく歯並びを整えられるのは、マウスピース矯正ならではの特徴です。
簡単に取り外しが可能
治療の効果を最大限に高めるには、長時間装着する必要がありますが、短い時間であれば装置を外して食事を楽しんだり、人前に出たりすることが可能です。
結婚式や写真撮影などの大切なシーンでは装置を取り外すことも可能です。この点もワイヤー式の歯列矯正にはない特徴です。
装着時の違和感が少ない
マウスピースに用いられる素材は柔らかく表面が滑らかです。そのため歯茎や粘膜を傷つけることはほとんどありません。
装置の交換後、2~3日は歯に痛みや締めつけ感が現れることがあります。ただし、ワイヤー矯正よりは痛みが軽度、かつ短期間で慣れることが多いです。
ワイヤー矯正が月に1回程度の間隔でワイヤーの調整や交換を行うのに対し、マウスピースは1週間という短いスパンで新しい装置に交換します。
歯にダメージを与えない程度に少しずつ段階的に歯を動かすように設計されるため負担が少ないのです。
口腔内を衛生的に保ちやすい
装置を簡単に取り外せるということは、フロスを使って歯垢を除去したり、ブラッシングにおいて装置が死角になったりして歯垢が溜まるといったことがありません。
ブラケットとワイヤーの隙間を歯ブラシのみで清掃するのは難しく、装着部分は汚れが溜まってしまい虫歯になるといったケースが見られることがあります。
歯間ブラシなどの口腔ケアグッズを患者さんに使用してもらうことが多いです。
虫歯や歯周病については、矯正前に既になってしまっているものは先に治療を済ませておくのが望ましいです。
金属アレルギーの方でも安心して矯正治療ができる
ワイヤー矯正は一般的に金属の矯正装置を常時装着しているため、金属アレルギーの心配があります。装置は医療用プラスチック製なので、金属アレルギーの方でも使用できます。
マウスピース矯正の対象について
基本的には小さいお子様から高齢者の方まで、幅広い年齢層での対応が可能です。
高齢者の方は治療を受ける段階で、これまでの治療痕が目立ったり、歯肉が下がったり腫れていたり、何らかの事情で抜歯されていたりと、患者様によってさまざまな状態が見られます。一人一人の状態に合わせて適切な治療計画を立てて、高度で安全な技術に基づく治療ができる専門医に依頼することが重要です。
若い世代の方々は、主に審美性の観点から矯正治療を考える方が多いと思います。
矯正治療の目的はそれ以外にも大事なことがあります。
それは「きちんとした噛み合わせができる状態」を構築することです。
この噛み合わせについては、特に高齢者の方々が健やかな生活を送れるかどうかにおいて、極めて重要な要因になることをあなたはご存知でしょうか?
今回は審美性の観点ではなく、マウスピース矯正を行うことについて、そのメリットも解説しながら、あらためて自分の歯で食事できることの喜びと健康における重要な役割をお話したいと思います。

歯列矯正のメリット
ここからは高齢者の方に想定される様々な健康上のリスクや要因を踏まえて、歯列矯正においてどのような健康面での恩恵があるかについて、様々な側面から見ていきましょう。
「8020運動」の達成
まず最初に、皆さんは「8020運動」というワードをご存知でしょうか?
これは「はちまるにいまる運動」と読みます。
現在の日本は男性女性ともに平均寿命が長くなり、世界的に見ても長寿国家であり、高齢化社会という現実に直面しています。そのような高齢化社会の中でもう一つ重要な概念として「健康寿命」という考え方も存在します。
これは「何歳まで生きるか?」とは別の問題となる「何歳まで健康的な生活を送れるか?」という観点に立っています。
相手の声が聞こえる、物が見える、自分の足で歩ける。こうした日常的な当たり前の行動でも、年齢を重ねるとともに大変な労力を必要としたりします。
それは当然、「自分の歯で食事ができる」ということにも当てはまります。
8020運動は、80歳になった時点でも20本以上の自分の歯を維持して、明るく健やかな生活を送りましょう、というスローガンです。
厚生労働省のデータによると、平均的な現在80歳で残っている歯の本数はおよそ9本で、20本以上の残存歯を持つ人は、およそ4人中わずかに1人という割合です。
自分の歯を失ってしまう過程としては、何らかの理由で1本の歯を失うと、本来その歯と噛みあっていた反対側の歯や両隣の歯が、土台として安定させるための支えを失います。
抜けてしまってぽっかりと空いてしまった隙間に歯が傾いてくるなどして安定性を失います。この状態により噛み合わせはどんどん悪くなっていき、放置すると歯列が完全に機能を失ってしまい、最終的には総入れ歯をしなくてはならなくなります。
矯正治療は、そのようなリスクを低減するために、噛み合わせを守っていく上でも有効な選択肢の一つとなります。
何歳でも自分の歯で食事を楽しむ
自分の歯で食事を楽しめることは、すなわち自分の歯で食物をしっかりと噛んで、自分の口から生きていくために必要な栄養素を摂取できる、ということになります。
もしもこれができない場合は、口からではなく点滴などで必要な栄養素を取り入れることとなります。
やはり何歳になっても、自分の歯でしっかりと噛むことで、食べ物の味や食感、風味を存分に楽しみたい欲求は存在するでしょう。
噛めることは健康の秘訣
認知症の最前線で研究を続ける専門医の先生のお話で、「歯がない人は認知症になりやすい」という論述が存在します。
歯周病菌は歯が抜ける原因の一つとされていますが、それだけではなく、実はアルツハイマー型認知症の原因となることも今日の研究でわかっています。
歯の下には歯根膜があり、歯と骨の間に存在しています。
歯が残っていることでしっかりと物を噛むことができ、この歯根膜に適度な刺激が加わり、血流が活性化されます。
これにより、脳への血流自体も良くなり、脳が活性化されるという仕組みです。
歯を失っているために噛む力が弱くなったらどうなるでしょう。
当然、歯根膜の運動自体が弱くなり、結果的に血流が減少して脳も十分に活動しているとは言えない状況となります。
このように、矯正治療によってしっかりと噛める状態を維持することは、健康寿命を長くしていくためにも重要だということがお分かりいただけたと思います。
「歯列矯正は若いうちに」だけではなく、いくつになってもご自身の健やかな生活のためにもしっかりと向き合うべきテーマです。
歯の健康にも意識を向けるべきだということを、繰り返しお伝えしてきました。
ご自身はもちろん、ご家族に噛み合わせに悩んでいる場合は、一度カウンセリングを検討されることをおすすめします。
インビザラインの問題点
2021年12月24日
インビザラインによる矯正治療は旧来の矯正器具による治療に比べて、自由度が高く、見た目のいいという点で非常にメリットも多い治療法ではありますが、当然、インビザライン治療が100%うまくいっているかと言われると、そうでないケースも稀にあります。
インビザラインはメリットも多い一方で、高額な費用がかかるのもまた事実です。
そうであるならば、失敗のない矯正治療にしていくために、どんなことが必要なのかを理解して、実践していくことが必要です。
今日はインビザライン治療を行ってうまくいかなかったケースとその理由について、お話させていただければと思います。
■さまざまなケース
Case1 歯茎が下がってしまう
歯茎が下がると、歯根が露出した状態となり、見た目の印象も老けて見えます。
これはインビザラインによる歯科矯正治療がマウスピースを通じて、歯に負荷をかけることによって、歯槽骨がその力を吸収して、歯が移動するスペースを作るという仕組みで矯正していくのですが、過度な力がかかってしまったり、歯周病でそもそも歯槽骨の量が不足していると、こうした現象が起きてしまいます。
Case2 出っ歯になってしまった!
一例としては患者様の前歯がもともとガタガタな歯並びだと、十分な治療計画を立てないと、出っ歯になってしまうという事例も発生します。
基本的には抜歯や歯を削るということは少ないに越したことはないのですが、例えば顎の大きさに対して、歯の密着度が高い患者様の場合などは、きちんとした歯並びにするためには歯を抜く必要があるにもかかわらず、抜歯を実施しないと、出っ歯になってしまうということは起こり得ます。
医師の適切な判断と十分な治療計画を立てるということが大事です。
Case3 咬み合わせが悪くなってしまう
治療計画のシミュレーションに反して、咬み合わせが悪くなってしまうケースもあります。
マウスピースで奥歯に過度に力がかかって、奥歯が沈み込んでしまったり、マウスピースのはめ方が悪くて、特定の歯ばかりに力がかかってしまう状態になると、咬み合わせが悪くなる可能性が高まります。
他にもさまざまな症例がありますが、上記のような事例はインビザライン矯正を通じて、発生する可能性があるものです。
ではどうして、このようなことが起こるのでしょうか。これを避けるにはどうすれば良いのでしょうか。

■問題点
◆問題点1 お口の状態が悪いこと
インビザライン矯正がうまくいかない原因の一つにお口の中の状態が悪いことが挙げられます。
例えば、矯正治療中に、むし歯や歯周病になると歯型が変化してしまうため、マウスピースが合わなくなってしまいます。そうすると矯正の効果を発揮することができなくなります。
従い、矯正治療中もしっかりと歯磨きを行うことが重要です。
丁寧に歯磨きを行うことで、矯正も良い結果になります。
また特に冬場やマスク着用が当たり前になってきた昨今では、お口の乾燥も気になるところです。マウスピースをしていると余計に唾液が口内に行き渡らなくなるので、細菌が繁殖しやすくなり、むし歯や歯周病を招きます。
しっかりとした口腔ケアを行うこともインビザライン矯正を望んだ結果にするためには必要なのです。
◆問題点2 装着時間不足
そもそも装着時間が短いと、矯正治療はうまくいかなったり、予定期間よりも時間がかってしまったりします。インビザライン治療ではマウスの装着時間が20時間は必須です。
基本的に食事と歯磨き以外の時間は全てマウスピースをつけるくらいの意識で臨まなければ、理想の結果になることは難しいと思います。
つけ忘れなどの自己管理が甘いと、治療に時間がかかってしまいます。
◆問題点3 マウスピースの交換の時期を守らない
インビザライン矯正では、治療計画に乗っ取って、マウスピースも交換していく必要があります。なぜ交換するかというと、マウスピースでの矯正によって、歯が移動するので、古いマウスピースでは、歯が移動したあとのお口の状態に合わなくなっているからです。
従い、医師からの指示通りにきちんとマウスピース交換を実施していく必要があります。
以上のような問題点がインビザライン矯正を通じて起こりうる問題点です。
ではこれらの事態を収めていくにはどうすれば良いのでしょうか。
■解決策について
解決策1 お口の中を綺麗に保つこと
矯正治療において、最大の問題はお口の状態が悪いことです。
むし歯や歯周病があると先述した通り、歯型が変わってしまうので、せっかくのマウスピースも合わない場合があります。
長時間マウスピースをつけることによって、口の中が乾燥したり、マウスピース自体を不衛生な状態にしてしまったり、歯磨きが甘くなったりしていると、むし歯や歯周病が発生してしまいます。むし歯や歯周病の治療を矯正よりも優先することになってしまうため、インビザライン矯正の期間が当初よりも伸びてしまいます。
まずはお口の状態を徹底して綺麗に保つことをおすすめします。
解決策2 医師の指示に従うこと
インビザラインは事前に専門の歯科医師によって、しっかりと綿密な計画が練られています。
その上で、マウスピースも作っているため、適切なタイミングで、マウスピースも交換する必要があります。面倒だから、とか、交換しても意味がないだろうと勝手にしてしまうと、矯正治療が進まなくなってしまう可能性があります。
歯科医師のきちんとした判断に合わせて、治療を実施していくことが大事です。
解決策3 信頼のおける医師の診断を受ける
まずインビザライン矯正のあとに起きている問題の一つに咬み合わせが悪くなったと言うものがありますが、不正咬合を正しくして審美性を高めていくことを目的としているので、そもそもきちんと計画を立て、治療をしていけば、咬み合わせが悪くなることは基本的にありません。しかし、診断をした医師の治療計画に問題があったり、マウスピースに異常があると、発生しうる事象ではあります。
インビザライン矯正は多額の費用のかかる治療方法です。
それほどの多額のお金を投じていくのであれば、安心して任せられる実績のある歯科医師の治療を受けるのがもっとも良いかと思います。
治療前のカウンセリングの際から患者様ご自身でしっかり納得のいくまで説明を聞き続けることが大事です。その段階であまり良い回答を得られない場合、経験値が低かったり、専門的ではない場合もあるので、別の歯科医師を検討するのも選択肢かと思います。
また大事なこととして、矯正中に違和感を感じた際には歯科医師にすぐご相談いただけたらということです。なんとなくの違和感が矯正の結果に悪影響を及ぼしてしまうこともあるので、少しでも変だなと感じたら、歯科医師にご相談ください。
当院は豊富な治療実績があり、患者様の治療を最大限サポートできる体制を整えております。インビザライン矯正を実施していく上で知りたい点や不明点があればお気軽にご連絡いただければと思います。
またもし万が一、過去にインビザライン矯正を行ったけれども、うまくいかなかったなどあれば、当院でお役に立てるかもしれませんので、お気軽にご相談ください。
ただし、インビザライン矯正をうまくいく結果にしていくことで大事なことは、事前のしっかりとした治療計画と患者様ご自身の自己管理ですので、しっかりと医師に相談しつつ、患者様ご自身でのケアも行っていただければと思います。
インビザラインのシステム
2021年12月10日
歯科矯正と言われて、多くの方がイメージするのはおそらく、歯に金属を取り付けるワイヤー式の矯正ではないかと思います。
確かに小学校の同級生が歯に金属を付けている姿とかを教室で見てきたので、矯正のイメージはどうしてもすごく目立ってしまう、見栄えの悪い、できるだけ避けて通りたい、ちょっとネガティブなイメージをもつものなのではないかなと思います。
しかし、近年では、矯正も大きく変わってほとんど目立たず、かつ日常生活を送る上でも今までほどの手間なく、矯正できるようになりました。
その使いやすさに一役買っているのが、「インビザライン」です。
■米国で誕生、世界中に普及しているインビザライン
インビザラインシステムはアメリカで1999年に矯正歯科医を対象に提供開始されたもので、現在ではグローバル展開を行い、2020年1月現在、世界100カ国以上の国々、そして800万人以上の人がインビザラインシステムでの治療を受けています。
さらに紐解いていくと、このインビザラインを提供するアラインテクノロジー社は1997年にスタンフォード大学の2人のMBA学生が企業して設立した会社です。
この設立者の一人がパキスタン系のアメリカ移民で、当時ワイヤーによる歯の矯正治療を受けていたそうなのですが、これが非常に辛かった経験があったのですが、治療が終了した後のマウスピースのリテーナー(矯正装置を外した直後は歯の周りの骨(歯槽骨)が安定してないため動きやすく、歯は元の位置に戻ろうとする「後戻り」を防ぎ、安定させるために装着する装置)を使用した際に、これで矯正もできたら、楽なのでは、という発想から生まれたのがこの「インビザライン」なのです。
つまり、歯科医が生み出したものではなく、矯正を利用した一学生の発想によって生まれたものなのです。
そもそもマウスピースで歯を動かす、矯正していくという発想はそれまでにもあり、臨床応用されていました。
しかし、アラインテクノロジー社が違ったのは最初からコンピューターで装置をデザインしたことと、資本を集めて広く展開していくマーケティング展望を持っていたことにあります。
矯正歯科のプロやコンピューターを用いて歯を動かすことを想起するのは、今まで前例のないことなので、そうしたコンピューターの分野の専門家の力も借りる必要がありました。
彼らはどんどん検証と実践を繰り返し、インビザライン治療の精度もどんどん高まっていきました。
インビザラインが初めて日本にやってきたのは2006年のことですが、そこから年数を経ていくごとにインビザラインによる歯科矯正治療のクオリティは高まっていき、それと同時に矯正歯科におけるインビザラインの導入実績も高まっていきました。
アラインテクノロジー社は上記のごとく、多くの検証を繰り返し、多くの実績を作り出したことによって、マウスピース歯科矯正のパイオニアとして、世界中で専門家集団を形成し、世界一の症例数と、それに伴い進化していく機材、数多くの特許を保持しています。さらには独自のドクター教育プログラムを保有し、マウスピース矯正の分野においては他の追随を許していない状態です。
■インビザラインで使われるシステムはどのようなシステムなのか
インビザラインシステムは上述した通り、コンピューターを用いて、装置をデザインします。インビザラインで使用しているシステムは「クリンチェックプロ」と呼ばれるソフトウェアです。
インビザラインの治療でこのシステムを用いて行うことは、治療後の歯のポジションの設定(ゴールの設定)、ゴールまでの歯の動きのデザイン、その動きを実現するためのアタッチメントデザイン、この3点が主たる用途です。
そしてクリンチェックプロを用いることによって、治療ゴールの設定を一本一本、細かく設定することができます。そしてこれは矯正歯科医によって、矯正学的な診断と、手腕が発揮されるところであり、同じ患者様の型取りであったとしても歯科医によって全く違ったデザインが生まれる可能性があります。
歯科矯正というのは本当に細かく、先述の通り、歯科医によって全く変わってしまうほど詳細な設定が必要になる作業なのですが、それに適しているソフトウェアは現状ではこの「クリンチェックプロ」以上のものはないと思われます。
こうした精緻なシステムを駆使して、インビザラインではマウスピースを作成しているため、患者様一人一人に適した治療を提供していくことが可能です。

■今や芸能人も使うインビザライン
インビザラインは日本でもかなり普及してきました。
特に芸能界の方でインビザラインを利用する方が多数いらっしゃるようです。
芸能人の方々は見られるのがお仕事です。
歯並びを綺麗にして、より見た目をよくしたいと思っても、昔からの矯正治療ですと目立ってしまい、なかなか治療するのも難しかったのではないかと思います。
ですが、インビザラインは、見た目にも目立たずに矯正治療をすることができますので、お仕事もしつつ、歯も綺麗にしていけるという一石二鳥で、芸能界の方々も使いやすいようです。
芸能人の方でなくても、見た目がナチュラルに映るのはとてもメリットが多いと思います。
ビジネスシーンでも矯正しているからと言って、何か評価が変わるということではもちろんないと思いますが、人間は本能的にどうしても第一印象が強く残ります。
一生に一回のタイミングの第一印象もできれば、よく見せたいということであれば、インビザラインはワイヤーなどに比べるととても使いやすいのではないかなと思います。
■マウスピース矯正で気をつけなくてはいけないこと
インビザラインの初期の特許が2018年で切れ始めた関係で、格安のマウスピース矯正などが現れるようになりました。
ここで気をつけたいのは、確かにインビザラインは基本的に保険適用外となるため、金額が安くはないという点。
その点を突いて、安価なマウスピース矯正が市場に出てきているのは事実です。
しかし、安価なマウスピース矯正はむしろ余計にお金をかけてしまう結果になりかねません。
先述した通りインビザラインは非常に高度な技術とシステムに裏打ちされ、かつ歯科矯正医の技術によって結果も様変わりします。
きちんとした矯正専門のドクターが治療に当たる場合、マウスピースで歯をコントロールする難しさを理解しているため、インビザライン以外のマウスピース矯正を選択することは非常にリスクのある選択です。それくらい精度が問われるからです。
逆にいえば、安価なマウスピース矯正を行えるのはそこのリスクをあまり承知していない歯科医が当たっている可能性があります。
そして、マウスピース矯正は単にマウスピースを作って、送って、患者様が自分で装着すれば良いというものでもなく、都度必要なタイミングでフォローが必要です。
安価なマウスピース矯正を選んだ結果、矯正位置の失敗などで再度矯正をし直すことが必要になるケースもあり、失敗したものを改めて治すのですから、当然最初よりも難しくなることは想像に難くないと思います。
そのために費用をなんとか下げるつもりで安価なマウスピース矯正を選んだのに結果的にはお金も時間も余分にかかってしまうケースは少なくありません。
そもそも歯科矯正の治療は確かな技術が求められるもので、精緻な作業が必要になります。その精緻な作業に精緻なシステムで対応できるのがインビザラインなので、マウスピース矯正を選択される場合には、インビザラインによる治療を確かな技術と実績でしっかり行っている歯科医院を選択されることを強くおすすめします。
マウスピース型矯正装置の歯の移動
2021年11月26日
インビザラインの魅力ってなんだと思いますか?
透明で目立たない?
取り外し可能でお手入れがしやすい?
実はそれだけではないです!
当院では痛みが少ない矯正治療を実現しました。
歯がどうやって動いていくのか、今日はマウスピース型矯正装置での歯の移動についてお話していきます。
■そもそもマウスピース矯正とはなにか
インビザラインはアメリカのアライン・テクノロジー社が作製するマウスピース型の矯正装置です。
マウスピース矯正は、従来のワイヤーによる矯正治療ではなく、その名の通り、マウスピースをはめる形の矯正になります。
従来のワイヤー矯正と異なる点は歯に固定せずに取り外しができるという点が大きいと思います。
矯正治療中も、従来のワイヤーに比べると、通常と同じように食事をすることや、歯磨きを行うことができます。しかも透明なマウスピースをつけるので、ワイヤーのように目立たないのもメリットの一つと言えます。
インビザラインにはさまざまなメリットがあります。
今までの矯正治療では必ず歯型を採る必要があります。インビザラインの大きな違いは、苦しい型取りは必要ありません。シリコンの入った大きなトレーをお口に入れて採取していましたが、苦手な方も多かったと思います。
インビザラインではアライナーを作製するための歯の型取りはiTeroシステムを使用し、苦しい型取りは一切不要です。
3Dスキャナーの先端をお口に入れるだけで、素早く歯型を採取できます。
すべてではありませんが、一般的なマウスピースによる矯正は歯が動くたびに次の段階の矯正装置に付け替えるタイミングで毎回歯型の採取を必要とします。
最初に1回採取した歯型を3Dデジタル化して、治療完了まで緻密な計画を練り上げます。
立案した計画に基づいて、正確な歯型のデータを採取し、患者様に出来るだけ負担の少ない形で、検査を実施していきます。
仕事にお忙しい方でも無理なく矯正治療を行うのに、インビザラインは適しています。
但し、インビザラインには従来の矯正とは違った特有の知識と技術が必要になります。
医師の高い診断技術が要求され、医師の治療計画によって、治療効果にも影響を及ぼします。
なので、インビザラインも豊富な経験のある医師に相談されるのがいいかと思います。
インビザラインは正確性や再現性が非常に高いのも特徴の一つです。
アメリカのアラインテクノロジー社はマウスピースに関する特許を中心に多数の知的財産を有しており、例えば、コンピューター・テクノロジー、ビジネスモデル、口腔内スキャン、マウスピース製造プロセスなど幅広い分野で、全世界累計550件以上の特許を保有しています。
このインビザラインがほかのマウスピース矯正に比べて、非常に優れているのも、この豊富な技術に裏打ちされています。
インビザラインの知名度は日本でも徐々に高まっており、インビザラインを希望して、歯科医院を訪れる患者様も年々確実に増加しています。

■歯が動く仕組み
インビザラインの場合は、抜歯を伴う全顎的治療も可能です。アタッチメントなど補助装置を利用し、マウスピース矯正単独では苦手としている動きをカバーして治療します。
その他のマウスピース矯正では、出来る限り抜歯をせず、前歯を中心とした治療を行っていることからも適応症例は限定的となる場合が多く、その分安く矯正治療をできるようですが、後戻りがしやすいなどでデメリットも多く、注意が必要です。
歯科矯正治療では、歯あるいは顎に外力を作用させ、周囲組織に変化を起こさせます。(矯正力)矯正力が加わると、移動方向の歯頚部歯根膜は圧縮され、反対側は牽引されます。
○圧迫側に起こる変化
強制力の強弱により圧迫側歯根膜の圧縮度は異なり、組織反応も異なります。弱い力のときには歯根膜はわずかな充血をきたして歯槽壁表面に破骨細胞が現れ、歯槽壁表面から骨吸収が起こります。これを直接性吸収といいます。
一方、強い力のときには歯根膜は強く圧縮されて貧血を起こし、細胞成分がみられなくなり、硝子様変性を起こす。
この段階ではまだ歯は動きません。変性部分から離れた部分および骨の内部には弱い力が加わるので破骨細胞が出現し、内部から骨を吸収します。これを穿下性吸収といい、骨が陥没することで歯は急激に移動する。
○牽引側に起こる変化
牽引側歯根膜は引っ張られ、繊維芽細胞が増殖し、歯槽骨表面には骨芽細胞が現れ、骨を造成して骨添加を起こさせます。
歯はさまざまな方向へ移動していきます。
○傾斜移動
矯正力で歯軸が傾斜することで、近遠心的傾斜移動と唇舌的傾斜移動とがあります。前歯唇面に舌側方向の矯正力が加わり、歯が舌側傾斜する場合には、歯根膜の圧迫側は舌側歯頚部と唇側歯根尖部に生じ、牽引側は唇側歯頚部と舌側歯根根尖部に生じる。
○歯体移動
歯全体が平行移動することを歯体移動といい、移動方向の歯根膜は前面にわたり圧迫側となり、反対側の歯根膜は牽引側となる。
○回転
歯軸を中心に回転することで、歯が捻転している場合に、回転力を加えて歯列弓に正しく配列させる。歯根膜は歯根の形態に応じて圧迫側と牽引側とが生じ、それぞれ異なる変化を示す。
○圧下
歯軸に沿って歯根方向へ矯正力を加えると、歯は歯槽内へ押し込まれる。この移動のことを圧下といい、歯根膜全体が圧縮される。
○挺出
歯軸に沿って歯冠方向に矯正力を加えると、歯は歯槽内から伸び出てくる。この移動のことを挺出といい、歯根膜線維は牽引される。
○トルク
歯冠部に唇舌的回転力を加えて歯根を主体に移動させることで、舌側へのトルクと唇側へのトルクとがある。移動方向の歯根膜は前面にわたり圧迫側となり、反対側は牽引側となる。
マウスピースだけではすべての歯は移動できません。
加える力を計算して作っているので、歯の移動距離や移動速度、角度などによって変わります。
その力を補助的に手助けをする機能がアタッチメントなのです。
歯の表面に付けるでこぼこの半透明の突起物のことです。
歯科用のプラスチックでできており、人体に無害な素材です。
白色で歯の色と似ているものを使用しているので、歯の表面についていても思ったよりあまり目立ちません。
逆にアライナーを装着すると、そのアタッチメントが入るアライナーのふくらみの方がちょっと目立つぐらいです。
歯科用の接着剤で歯の表面についているため、脱着の際に力がかかると取れる可能性もあります。
矯正治療が終わったら取れるものでないと全部外すので困りますよね。
そのためアタッチメントはちょうどいい力で歯の表面についています。
■まとめ
ここまでインビザラインの特徴や歯の移動について記載してきましたが、通院回数も少なく、歯型の採取も1度で終わるインビザラインは、日常的に仕事やプライベートの予定で忙しい現代人にとって、とても負担を軽くできる治療方法です。
しかも精度の高い治療を受けることができるので、矯正の効果も望める上、日常生活においても取り外しが可能なので、食事や歯磨きなどもストレスを軽減して、実施することができます。見た目にもワイヤーなどと比べると目立たないので、そういったストレスも抑えられます。
インビザラインは確実に日本に浸透してきていましが、それは矯正に対するストレスを抑えたことによって、矯正治療のハードルを下げてきたことにあります。
ぜひ、矯正治療を考えているけど、通院や見た目などさまざまな理由で悩んでおられる方は一度当院へご相談ください。