マウスピース矯正で奥歯が噛めない?
2021年11月12日
過去に矯正治療した歯が戻ってきてしまった方や転院する患者様が様々な理由があってご相談に来院されます。
中には矯正治療をして奥歯がかみ合わなくなってしまい治らないという症例もあります。
この奥歯がかみ合わないという症状はインビザラインを含めたマウスピース型の矯正装置で治療をする場合に生じるだけでなく、従来のワイヤー矯正でも起こりうることです。
■かみ合わない原因
考えられる原因としては
○ほかの歯が先に当たってしまうために奥歯がかみ合わない
○マウスピースを装着していることで奥歯が沈み込んでしまい(圧下)かみ合わない
○マウスピースと奥歯がずれてしまい、その歯だけかみ合わない
マウスピースを装着するとマウスピースの厚みの分だけ奥歯が先に当たるようになります。マウスピース矯正では1日20時間程度マウスピースを装着していただくため、常に奥歯にはかみ合わせの力による沈み込み圧力が加わりやすくなります。
この理由からマウスピースを装着されている患者様は矯正治療中に奥歯がしっかりとかみ合わないと感じられます。
強く当たる奥歯部分だけをカットしたマウスピースを装着していただくことで通常のかみ合わせに戻ります。
ほとんどの歯はピッタリとマウスピースが合っているのに一部の歯だけがずれてしまいかみ合わないという場合、ズレが生じる原因のうち
・歯の形からズレが生じやすい
・取り外しの回数が多い
・移動量が多い、難しい移動を行っている
・マウスピースを装着するときに噛んではめてしまっている
などのことが考えられます。
顎間ゴムを使用するなどリカバリーで対応する場合と、歯型を採取して追加アライナーを作製する場合とが考えられます。
1本だけずれてしまった場合、ゴム掛けを行ってマウスピースとのずれを解消することもあります。
マウスピース矯正では特に前歯を内側に移動させる際に前歯が先に当たるようになってしまい、奥歯がかみ合わない状態になってしまうことがあります。
このような場合にはマウスピースの作り直しを行い、計画の修正を行う場合があります。
特に抜歯をして歯並びを整える治療計画の場合には前歯を内側に引き込む際にマウスピースが大きく歪んでしまい、前歯だけが強く干渉してしまうことがあるため、これがインビザラインでは抜歯を伴う治療では注意が必要だと言われている理由の一つです。
マウスピースにズレがない場合でも、適切に治療計画を修正しないと奥歯が前に倒れてしまってさらにかみ合わなくなり、元に戻すのにかなりの期間が必要になってしまいます。
奥歯が噛まないという状態はマウスピース矯正の治療中に生じる一時的なものですので、なぜそうなってしまったのか原因がはっきりしていると適切な対応により理想的なかみ合わせを得ることが可能です。
インビザラインは奥歯の前方移動が苦手なため、奥歯が前方に倒れてくることもあり、一時的に噛めなくなることもあります。

インビザラインは歯の頭の部分(歯冠部)から覆い、歯を動かします。その特性上、歯を平行移動させることは苦手であり、歯根部は取り残されて歯冠部だけが倒れながら動く傾斜移動が先行して起きます。
人間の歯はもともと前方に倒れています。奥歯を後方移動させることは歯が起き上がるため、歯列咬合にはいい方向に行きます。斜めに傾いている歯をまっすぐに起こす治療をアップライトと呼びます。歯を入れるだけのスペースを確保する治療法です。
これが後方移動させる方針をインビザラインが得意とする治療方針です。
これに対して奥歯を前方移動させる治療方針をとる時は、気をつけないと、奥歯がより前方に倒れ込んでしまうことがあります。行き過ぎると上下の歯が離れていって噛めなくなってしまいます。
歯の前方移動を防ぐためには、奥歯に大きめのアタッチメントを設置しアライナーをしっかりフィットすること、顎間ゴムを直接奥歯にかけないという工夫が必要となります。それでも、前歯の後方移動量が多い抜歯ケースの場合は、どうしても奥歯の前方への倒れ込みが発生してしまいます。
奥歯の倒れ込みが起こると、奥歯がかみ合わず噛めない状態になります。
顎間ゴムをかけることで倒れている奥歯を一旦逆に後方移動させアップライトさせることが可能です。ですが、上下両方の奥歯に前方傾斜が起きてしまっている場合は、もう表側のワイヤーの矯正装置を使用するしか方法はありません。
ここで重要なのは歯の動きやすい歯冠部ではなく、動きにくい歯根部を動かすことです。
見えない奥歯の調整に時間がかかると目に見える前歯の部分に比べると治らない、時間がかかると思われる方もいるかもしれません。
また、マウスピース矯正では奥歯を動かす治療計画を立てると歯が歯ぐき方向に沈んでいきます。
追加アライナーに大きめのアタッチメントを設置したり、上下の歯列の間に顎間ゴムをかけることで治していきます。
インビザライン治療に適さない症例や経験が浅く、抜歯が必要なケースであっても「非抜歯でできます」と矯正治療をはじめてしまい、後日トラブルになってしまっている医院も存在します。当院ではそのような対応はしておりません。この点を考慮したうえで患者様自身も医院選びの参考にしていただけたらと思います。
■インビザラインの自己管理について
インビザラインは自己管理していただくことがとても大切で、つけ忘れやマウスピースを外した時間が長くなると、歯の動きが悪くなり治療計画通りに進めることができません。
治療計画に沿って新しいマウスピースに交換することが必要です。治療が進むにつれて歯が動くため、同じマウスピースを装着しつづけても矯正が進みません。交換時期や装着時間をきちんと守ってくださいね。
患者様自身の管理が甘いとなかなか効果が出ずに治療が進みません。
インビザラインの装着時間は1日20時間以上が推奨されています。常に力が加えられ続け、歯が順調に動きます。アライナー装着時間が短ければ、それだけ歯の動きは遅くなってしまいます。1日の装着時間を長くすることはとても重要なことです。
また、順番通り装着しなければなりません。
決められたルールや期間を守り、その治療効果が最大限発揮されるよう患者様自身に努力していただくことも必要です。
■リカバリーにも対応
メーカーによるクオリティの違いも効果が実感できなかった理由の1つです。マウスピース矯正にはさまざまなメーカーがあり、部分的な歯並び改善しか対応できないメーカーもあります。
マウスピース矯正ではすべての歯並びは治療できないと諦めてしまう方が多くいます。
インビザラインはすべての歯並びが対象となります。
相談される方にはマウスピース矯正をしたけど歯がほとんど動かなかった、理想の歯並びにならなかったと聞きます。
これはメーカーによるクオリティの違い、歯科医院選びが原因の可能性があります。
本来は治療した歯科医院が責任を持ち、対応すべきですが、対応できる能力がなかったり、患者様自身がそこの歯科医院には行きたくないなど事情があると思います。そのような方にも安心してきていただけるリカバリー治療も行っています。
■まとめ
矯正治療は歯を動かしたい距離が長くなればなるほど、難しくなっていきます。
インビザラインも同様で、歯を動かしたい距離が長くなるほど、マウスピースをはめたときの違和感も大きくなります。最初に動かしたい距離や最終的な歯並びの目標に合わせた計画を立てます。かみ合わせのトラブルが起きないようにしっかり検査、カウンセリングを行います。
お気軽にご相談くださいね。
インビザラインのアタッチメントの種類
2021年10月29日
こんにちは!
『目立たない』『ご自身で取り外しができる』『通院回数が少ない』などの理由により、当院で人気の高いマウスピース矯正『インビザライン』ですが、従来から行われているワイヤー矯正と比べると、適応となる歯列不正の症例に限りがあるなどのデメリットも持っています。
ところが、単にマウスピースを使うのではなく、アタッチメントというものをつけることで、適応となる歯列不正の幅がぐんと増やせます。
まさに「不可能を可能にする」のがアタッチメントの役割です。
そこで、今回は、最近注目度アップのインビザラインの適応症例を増やすアタッチメントの役割についてお話ししたいと思います。
■マウスピース矯正でのアタッチメント
アタッチメントとは、歯の表面につけた突起物のことです。
マウスピース矯正では、マウスピースが歯を押すことで動かしていきます。
しかし、歯の表面はツルツルした状態ですから、マウスピースから加えられた矯正力が逃げてしまうことがあります。
そのようなとき、歯の表面にアタッチメントをつけると、マウスピースが歯に引っかかりやすくなり、マウスピースからの矯正力がしっかりと伝えられるようになります。
そのほかにも、アタッチメントにはマウスピースのフィット感をアップする役割もあります。
つまり、アタッチメントは、それ自体が歯を動かすのではなく、歯をより動かしやすくし、矯正治療をスムーズにすることを目的につけるものといえます。
したがって、矯正治療が終われば、つまりリテーナーで保定する段階になれば、アタッチメントはいらなくなるので、取り除きます。
アタッチメントは歯の表面に貼り付けているだけなので、簡単に取り除けます。
■インビザラインで使われるアタッチメントとは
インビザラインは、薄くて透明度の高い、そして歯に密着したマウスピースを矯正装置とした矯正治療法です。
マウスピース矯正の最大の利点は、矯正治療を受けていても、一見しただけではわからないほどの目立ちにくさにあります。
マウスピース矯正の利点を損なうことがないよう、インビザラインのアタッチメントにも目立ちにくさが求められます。
こうした条件をクリアするために、インビザラインのアタッチメントは、コンポジットレジンという歯の色にマッチした白色のプラスチック材料で作られています。
コンポジットレジンはプラスチックですが、虫歯治療でよく使われている材料なので、安全性は問題ありません。
インビザラインのアタッチメントは、四角いタイプ、丸いタイプなどいろいろありますが、いずれのアタッチメントも3〜5mmほどの厚みなので、とても薄く作られていることがわかっていただけることでしょう。
歯の色に似ている上に、コンパクトなので、インビザラインの目立ちにくさを損なうことがありません。
こうしたアタッチメントを歯の表面に接着させ、マウスピースの矯正力を高めるようにします。

■インビザラインのアタッチメントの種類
インビザラインのアタッチメントは、大きく分けるとインビザライン社が作る『最適アタッチメント』と、歯科医院で作る『通常アタッチメント』の2種類に分けられます。
○最適アタッチメント
インビザラインでは、矯正治療に取りかかる前に、専用のソフトウェアで歯の移動をシミュレーションします。
この結果をもとにマウスピースを作るわけですが、このとき、歯の位置や形、サイズなどによってソフトウェアが自動的に作成するアタッチメントが、最適アタッチメントです。
最適アタッチメントの形やサイズは、インビザラインのソフトウェアが、矯正治療の効率が最大限に高められるように計算して、自動的に作ります。
もちろん、最適アタッチメントをどの歯のどの部分につけるのかも、ソフトウェアが指定します。
最適アタッチメントには、いろいろな種類があります。
・ルートコントロール用最適アタッチメント
ルートとは、歯根のことです。
道じゃありませんよ。
ルートコントロール用最適アタッチメントは、歯の隙間や前歯の隙間(正中離開)を埋めたいときに多く使われ、それらの歯根を前後に動かし、歯並びの隙間を解消させます。
・回転用最適アタッチメント
歯の中心軸を中心にして回転させるためのアタッチメントです。
このアタッチメントは主に犬歯やその後ろの小臼歯という歯に使います。
・開咬(オープンバイト)用最適アタッチメント
奥歯を噛み合わせたときに、上顎と下顎の前歯が当たらない歯並びを開咬(オープンバイト)といいます。
開咬(オープンバイト)用最適アタッチメントは、上顎の前歯4本に装着し、前歯を引き出しやすくします。
・過蓋咬合(ディープバイト)用最適アタッチメント
過蓋咬合(ディープバイト)とは、奥歯を噛み合わせたときに、下顎の前歯が上顎の前歯に隠されてしまって見えなくなるような噛み合わせのことです。
この最適アタッチメントは、下顎の前歯や小臼歯に貼り付けて、奥歯を引き出すことで過蓋咬合の改善を図ります。
・アンカレッジ用最適アタッチメント
この最適アタッチメントは、抜歯部分のスペースを閉じるように設計し、抜歯をしなければならないような歯列不正の矯正治療の際に使います。
○通常アタッチメント
こちらは、インビザラインのメーカーが作るのではなく、歯科医師が臨機応変に歯につけるアタッチメントです。
大きさや位置も歯科医師の裁量で調整します。
■アタッチメントの取り扱い
インビザラインのようなマウスピース矯正は、ご自身の手でマウスピースを付けたり外したりできるのが利点です。
では、アタッチメントもご自身の手でつけたり外したりできるのかというと、そうではありません。
アタッチメントは歯科医師が専用の接着剤をつけて歯にしっかりと貼り付けます。
外すときは、リムーバーという器具を使って歯の表面から剥がします。
剥がしたままですと、表面がざらざらとしてしまいますから、専用の器械を使って、きれいに磨きます。
アタッチメントに関しては、つけることも外すこともできないのです。
■アタッチメントの注意点
○アタッチメントが外れたとき
アタッチメントは、歯に接着しただけのものなので、外れないとも限りません。
しかし、たとえ外れたとしても、すぐに治療計画に影響が出るものでもありません。
ですが、外れた状態を放置していると矯正治療がうまく進まなくなる恐れがありますので、放置したままにはしないようにしてください。
○マウスピースの付け外しが難しくなる
アタッチメントには、マウスピースのフィットを高める働きがあります。
そのため、マウスピースを装着したり、外したりするのが難しくなります。
そこで、マウスピースをつけるときは無理なくゆっくりと入れてください。
外すときはマウスピースの端に指先を当てて広げるような感じで外すようにするといいでしょう。
○着色汚れがつきやすい
アタッチメントはコンポジットレジンでできています。
歯とコンポジットレジンの境などに食べ物や飲み物に含まれる色素が入り込み、着色汚れを生じさせてしまうことがあります。
あくまでも着色汚れだけなので、虫歯ではないのですが、せっかく目立たないインビザラインを選んだわけですから、矯正治療を受けている間は、色の濃い食べ物や飲み物を避けることをおすすめします。
○慣れるまでは口内炎ができやすい
アタッチメントは、歯の表面の突起のようなものです。
したがって、これが頬や唇などに当たると、粘膜が傷つくことがあります。
アタッチメントに頬や唇が慣れるにつれて、こうしたことは起こらなくなりますが、しばらくの間はそのようなリスクがあります。
リテーナー(保定装置)について
2021年10月6日
今日はリテーナー(保定装置)についてのお話をします。
歯並びがキレイになるとそれで安心してしまい、そこで治療は終わりだと考えてしまう方も多いのではないでしょうか?
矯正治療で歯を理想の位置に動かしても、それで治療が終わるわけではありません。
矯正装置を外してしまうと、歯は自分の力で元の位置に戻ろうとします。その後戻りを防ぐため、歯を理想の位置で安定させる必要があります。そのために必要なのがリテーナー(保定装置)です。
■リテーナー(保定装置)とは
矯正装置で動かした歯を安定させる大切な装置です。
矯正装置を取り外した直後の歯は周囲の骨が安定していないため動きやすく、治療前の元の位置に戻ろうとします。これを「後戻り」と呼んでいます。
リテーナーは治療後の後戻りを防ぐ装置として、歯や周囲の組織を正しい位置に維持させることを目的としています。つまり、 リテーナーは矯正で整った歯並びや噛み合わせをキープし、治療の仕上げを担う大切な装置なのです。
この保定期間を経てやっと「矯正が終了した」といえるでしょう。
■なぜ後戻りは起こるの?
矯正装置によって一定の力を掛け続けると、歯の周りの骨(歯槽骨)が溶けはじめ、その溶けてできた隙間に新しい骨ができることで歯が動きます。
そのため、歯列矯正が終了した後もしばらくは、歯の周りの骨がしっかり詰まっておらず不安定な状態です。
さらに、歯と歯茎を結んでいる繊維は変化しにくく、矯正前の歯の位置を記憶しています。なので、治療によって歯の位置が変わっても、周囲の組織は以前の記憶を残したままです。
そのため、歯列矯正で歯並びがきれいに並んでも治療前の歯並びに戻ろうとする力が働きやすく、後戻りが起きやすいのです。
周囲の組織に 「ここが新しい位置ですよ!」と記憶をアップデートさせ馴染ませるには時間がかかります!だからこそ、矯正装置を外した後は「リテーナー」でしっかりガードして、正しい位置に歯をとどめておく必要があるのです。

■リテーナーの種類
リテーナーは大きくわけて2つの種類があり、歯並びやお口の状態によって使用する種類が異なります。
可撤式リテーナー(ベッグタイプ・ホーレータイプ)
可撤式のリテーナーは取り外しができることが特徴です。
ワイヤーで歯を抑えながらプラスチックで歯茎を覆うタイプ(ベッグタイプ)や、後戻りがしやすい前歯のみを抑えるタイプ(ホーレータイプ)、歯列全体を透明なマウスピースで覆うタイプがあります。どのタイプの可撤式リテーナーも着脱が面倒なことが難点ですが、食事や歯みがきの時は外せるのがポイントです。
綺麗に清掃できるので、清潔な状態を保つことができます。
固定式リテーナー(フィックスタイプ)
固定式タイプのリテーナーは「フィックスタイプ」とも呼ばれており、細い針金を歯の裏側に接着します。
固定式のフィックスタイプは歯の裏側に針金を固定するので正面から見えず、取外しの面倒もありません。ただし、歯の裏側に固定されているので歯みがきが難しく、針金の周囲に歯垢が溜まりやすいことが欠点です。日頃の丁寧な歯磨きはもちろんのこと、歯医者さんで定期的なクリーニングが必要です。
■リテーナーの特徴
ベッグタイプリテーナー(可撤式)
一般的に多く使われている取り外しができるリテーナーです。
ワイヤーが表側の歯並び全体を包み、裏側からは、透明なプラスチックのプレートが歯列を抑えます。
ホーレータイプリテーナー(可撤式)
べックタイプリテーナーと同様、歯の表側をワイヤーで抑え、裏側をプラスチックのプレートで抑える取り外し可能なリテーナーです。
後戻りのしやすい前歯のみを表側からワイヤーで抑えています。
クリアリテーナー(可撤式)
リテーナーの中には、取り外しのできるマウスピースタイプのものがあります。
別名、「ソフトリテーナ」、「インビジブルリテーナー」、「トゥースポジショナー」などとも言われています。アクリル樹脂やラバー系の材料でできており、透明で目立ちにくいのが特徴です。
フィックスタイプ (固定式)
自分では取り外しのできないタイプのリテーナーです。
歯の裏側に専用の接着剤でワイヤーを固定して後戻りを防ぎます。
取り外し式のリテーナーよりも装置が小さく、目立ちにくいのが特徴です。
■リテーナーの装着期間はどのくらい?
歯列矯正によって移動した歯が後戻りを起こさないように、歯の周囲の骨や筋肉を安定させる期間を「保定期間」といいます。リテーナーはこの保定期間に使用します。
保定期間(リテーナーの装着期間)は個人差がありますが、一般的には矯正期間と同じくらいの期間が必要であるといわれています。
~リテーナー取り外しまでの流れ~
歯列矯正が無事に終了しリテーナーを使い始めたばかりの頃は、食事の時と歯みがき時を除く24時間の装着がより良いとされています。
半年~1年が経過した頃から「夜だけ」「寝るときだけ」「週2〜3日だけ」というように徐々に装着時間を短くしていき、1週間のうち数時間程度の使用となるように装着時間を減らしていきます。
最終的にはリテーナーも卒業。晴れて歯列矯正が完了となるのです。
「後戻りのしやすさ」は歯並びや口周囲の筋肉、舌癖、生活習慣などの影響を受けやすく、個人差があるため、リテーナーを取り外すまでの期間は人によって差があります。
場合によっては一生使い続けた方が安心なケースもあります。
~長期的な継続をおすすめする理由とは?~
歯や歯茎、顎の骨などは加齢とともに変化するものです。だからこそ、可能な限り長期的な使用をおすすめします。年齢によるお口の変化に合わせてリテーナーを微調整すれば、整った歯並びを維持できるほか、後戻りのセルフチェックも可能です。
「ちょっときついな」「ゆるくなってきた」など、ちょっとした口腔内の変化にも気づきやすく、万が一後戻りが起きた場合でも小さな修正で済みます。
保定期間が終了したあとも、定期的に歯医者さんで後戻りのチェックを受けることもきれいな歯並びを維持するポイントです。
「もう大丈夫だろう」と勝手に判断せずに、歯科医の指示に従ってください。
■リテーナーのよくあるトラブル
リテーナーが矯正後の後戻りを防ぐ大切な装置であることはお分かりいただけたかと思います。可動式のリテーナーは自分のタイミングで自由に取外しが可能なため、ついつい装着をさぼりがちになってしまう方も多いのではないでしょうか。
・リテーナーが壊れた
「ワイヤーが歪んでいる」「プラスチックが割れた」など、明らかなリテーナーの破損はもちろんのこと、ちょっとしたヒビやたわみもできるだけ早いうちに歯科医に相談してください。
リテーナーはきれいに並んだ歯並びや噛み合わせを維持できるように、お口にフィットするように作られています。ですから、僅かなヒビやヒズミ、ワイヤーのゆがみであっても歯並びに影響が生じる可能性があります。
小さな破損であれば簡単な修理で済むため、その日のうちに元通りになります。亀裂や歪みが大きくなればなるほど修理も複雑化し、一から作り直しとなる可能性もあります。
現在お使いのリテーナーに何らかのトラブルがある方は無理に装着し続けず、できるだけ早めに歯科医院を受診するのが得策です。
・リテーナーをさぼった
まずはリテーナーを装着してみましょう。
多少「きつさ」を感じても、以前と変わらず装着できれば後戻りが起きている心配はないでしょう。微細な歯の移動は再びリテーナーを装着することでリカバリーできます。歯の移動を軌道修正し、もとの正しい歯列に誘導することもリテーナーの役割のひとつです。
もしも、リテーナーの装着に「痛みを感じる」「浮いている」「ピッタリフィットしない」などといった違和感や痛みがある場合は、さぼった期間に「後戻り」が進んでしまった可能性があります。
リテーナーを装着していない期間が長ければ長いほど歯並びに影響が出てきます。状態によっては治療のやり直しになる可能性もあるため、できるだけ早いタイミングで歯科医のチェックを受けてください。
・リテーナーを失くした
リテーナーが壊れてしまった時と同様に、失くしてしまった場合も至急歯科医院に連絡しましょう。リテーナーを新調するに際し、ある程度時間を要するとお考えください。
まずは、かかりつけの歯科医院に相談し指示を仰いでみましょう。
新しいリテーナーが仕上がるまでの暫間的な処置を行ってくれるはずです。
〜破損や紛失をしないための対策〜
リテーナーの破損や紛失の多くは持ち運びの際に発生するケースが多いようです。
外出先での置き忘れや、ポケットやバッグの中でヒビや変形が生じてしまうトラブルが多くみられます。このようなリテーナーの破損や紛失などのトラブルを防ぐためにリテーナーケース(専用ケース)を使いましょう。リテーナーを取り外した後にきちんとケースに戻す癖をつければ、衛生的かつ安全にリテーナーを持ち運べます。
リテーナーは長期的に使う大切な装置です。破損や紛失を回避するためにも丁寧に扱いましょう。小さな食品用の保存ケースでも代用できますが、リテーナーがきちんと収納できる専用ケースがおすすめです。
「やっと歯列矯正が終わった」と、ひと休みしたい気持ちやリテーナーの装着を面倒に思う気持ち、これから始まる保定期間への不安は誰でもありますよね。
ですが、保定期間も大切な治療の一環なのです。この保定期間の過ごし方によって今後の歯並びの良し悪しが決まってしまいます。
せっかく時間もお金もかけて整えた歯並びなのに、リテーナーの装着不足でせっかくのきれいな口元が後戻りしてしまうのはもったいないです。
整った歯並びと何でもよく噛める噛み合わせは一生ものの財産です。
歯列矯正で手に入れた整った歯並びを守るため、どうかリテーナーの着用を忘れないでください。
二子玉川駅前デンタルデザイン歯列矯正についてご紹介
2021年10月6日
こんにちは
矯正歯科医院ってたくさんありますよね。
歯並びをきれいに整えようと思ったとき、どの矯正歯科医院を受診しようかと迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
矯正治療と一言で言っても、実はいろいろな方法があることはご存知でしょうか。
仮にAという治療法での対応が難しい場合、Bという治療法で対応するとうまくいくというように、ひとつの方法に拘らず、症状に応じて柔軟に治療法を選ぶことが、歯並びを理想的な状態に整えるためにとても大切です。
そのためには、さまざまな矯正治療の方法に習熟しておく必要がありますが、矯正の専門歯科医院でもなかなか難しいのが現実です。
しかし、当院では、いろいろな治療法に対応していますし、もちろん、それらの治療経験も大変豊富です。
今回は、当院で行なっている矯正治療法についてご紹介します。
そこで、今回は、当院「二子玉川駅前デンタルデザイン歯列矯正歯科」の特徴をご紹介しようと思います。
■当院はインビザラインの認定医
近年、人気が高まっているマウスピース矯正の中でも、世界で最もシェアの高いのがインビザラインです。
世界シェアが広いということは、それだけ実績も多く、支持されているということの裏返しでもあります。
そのインビザラインでは、認定医制度を設けています。
当院は、インビザラインの認定医資格を持った歯科医院です。
インビザラインは、コンピューターにより歯の動きをシミュレーションする矯正治療法を確立したことで知られています。
コンピューターでシミュレーションするから、矯正の専門医じゃなくても、それこそ研修医でもできそうに思ってしまいませんか?
そのようなことはありません。
簡単そうに見えて、実はマルチブラケット法などのその他の矯正治療よりも深い知識と経験が要求される治療となっています。
そこで、インビザラインでは、安心してマウスピース矯正を受けていただくために、インビザラインの認定医制度を設けているのです。
当院では、このインビザラインの認定医基準をクリアし、インビザラインからインビザドクターの認定を受けています。
また、インビザラインの治療経験が大変多く、インビザドクターの資格に加えて、当院では、このダイヤモンドプロバイダーの認定も受けています。
インビザラインは、マウスピース矯正の先駆けともなった治療法です。
世界的に見ても、最も成功したマウスピース矯正と言っても間違いではなく、世界トップのシェアを誇っています。
他の矯正歯科医院で、インビザラインでの治療は難しいと言われた方も、当院なら対応できるかもしれませんから、一度ご相談ください。
ご自身でマウスピースを交換して歯を移動させる矯正治療のため、1日の装着する時間が決まっています。
指定された時間装着しながら、治療の段階に合わせて新しいものに付け替えていきます。
マウスピースを入れたり、外したりするのは、治療を受けているご自身です。
デメリットとしては適切にマウスピースを管理しないと、予定通りに矯正治療が進まなくなってしまうことだと思います。
メリットはほかの矯正装置による治療とは違って食事の際には装置を取り外せるので、食べ物が装置に挟まったり、くっついたりする心配がありません。
そのため、これまでと同じように食事を楽しむことができます。
矯正治療と一言で言っても、実はいろいろな方法があることはご存知でしょうか。
仮にAという治療法での対応が難しい場合、Bという治療法で対応するとうまくいくというように、ひとつの方法に拘らず、症状に応じて柔軟に治療法を選ぶことが、歯並びを理想的な状態に整えるためにとても大切です。
そのためには、さまざまな矯正治療の方法に習熟しておく必要がありますが、矯正の専門歯科医院でもなかなか難しいのが現実です。
しかし、当院では、いろいろな治療法に対応していますし、もちろん、それらの治療経験も大変豊富です。
当院で行なっている矯正治療法についてご紹介します。
■マルチブラケット矯正
矯正といえば目立つワイヤーを想像する方が多いと思います。
調べているとよく「マルチブラケット」ってみかけませんか?
マルチブラケット矯正は、歯の表面にブラケットという金具を付けて、ワイヤーを利用して歯を移動させる矯正治療で、最もオーソドックスな矯正治療法です。
100年にほどに及ぶ長い歴史があり、ほぼ全ての歯並びに対応しているほどの適応範囲の広さが特徴です。
ほぼすべての歯列不正を治せるほどの応用範囲の広さが利点ですが、ブラケットが目立ってしまうのが難点です。
慣れるまで歯を磨きにくい、お食事の際に挟まる、矯正装置が当たって口内炎を作ることもあります。
当院では、セルフライゲーションブラケットという特殊なブラケットを使い、ワイヤーも白くコーティングされたものにすることで、マルチブラケット法の難点を解消した違和感の少ない治療法を提供しています。
そのため、マルチブラケットによる矯正治療を受けていただくと、デメリットよりも利点が多く、患者様に安心して受けていただくことができます。

■裏側矯正
裏側矯正は、歯の裏側にブラケットをつける矯正治療法です。
最大のメリットとしは「矯正装置が見えないこと」で、最も目立ちにくい矯正装置です!
裏側にブラケットをつけるため、目立ちにくくなっていますし、マルチブラケット法の利点も備わっています。
難点は難易度の高さですが、当院は治療経験も多く、安心して受けていただけます。
裏側につける場合も装置の間に食べかすなどが溜まりやすく、歯磨きもしづらいので虫歯のリスクは上がると言われております。
しかい、裏側には常時唾液が循環しております。その唾液には「殺菌作用」があるので細菌が増殖しづらい環境となり虫歯になりにくいのです。
■アンカースクリュー
アンカースクリュー矯正とは、アンカーと呼ばれる支えを歯茎に埋めて、ここを固定源として歯を移動させる矯正治療です。
アンカースクリュー矯正なら、従来は難しかった大臼歯という大きな奥歯の後ろへの移動ができます。
大臼歯を奥へ移動させることができると、歯を並べるスペースに余裕が生まれるため、歯を並べるスペースを確保する目的の抜歯をしなくても歯並びを整えられる可能性が高まります。
■部分矯正
中には、歯並び全体ではなく、前歯だけなど、ごく一部だけ歯並びを整えたいという希望の方もおられます。
当院では、そうした部分的な矯正を希望される方に対応した部分矯正も行っています。
できる限り受診された方々の希望に沿った治療を行うようにしています。
部分矯正は適応症例が限られ、すべて人に部分矯正治療ができるわけではありません。
そのため、場合によっては部分矯正ではなく、全体的な矯正が必要とお伝えすることもあります。
「矯正にも様々な種類があって自分にはどの矯正が合っているのか分からない」そんなお悩みもあるかと思います。
歯周病治療や虫歯治療と手がけている一般歯科医院か、矯正歯科治療を専門的に行っている医院ではどちらがいいか悩みますよね。
歯並びは複雑で、ひとりとして同じ人はいません。
矯正治療の経験の多い歯科医院なら、取り得る選択肢が多いので安心していただけます。
マウスピース矯正治療での対応が難しい場合はマルチブラケット法で対応することも十分可能です。
二子玉川デンタルデザイン歯列矯正歯科では、随時歯並びについてのご相談を受付けております。